Twitter Facebook
www.WASEDA-LINKS.COM

わせにゅーplus

2017/10/05

『できない刑事』×早稲田リンクス特別企画、五週連続インタビュー掲載!

1⑴キャラメルボックス

 

 

黒澤:お芝居って精神的な戦いの部分も多いですよね。そういった経験も経て、お二人が今までずっと役者を続けてこられた理由は何ですか。

 

 

大森:昔はとにかく楽しくて仕方ないからやっていたけど、ふと振り返ると今までやってこられたのは、たまたまだったのかな、と思います。お家の事情などでやりたくても続けられない方たちがいる中で、私が続けられたのは、親が元気でいてくれていることや、キャラメルボックスが続いてること、そんな恵まれた環境にいたからだと思います。たまたま、私は運が良かったんだと思います。

 

西川:僕は若い頃、自分への興味が無くなったらお芝居は辞めよう思っていました。でも、6年前に脳梗塞を発症して、それ以前に思い描いていた将来の姿には、もうなれないかもしれないと思った時に、これから何を目標にしてお芝居を続けていけばいいだろうと考えました。その時、自分のことを問題にするのはもうやめにして、一緒にやってる人たちが楽しいことを自分自身の喜びに変えていけばいいんじゃないかと思い始めた。今ちょうど稽古が始まったばかりなんですけど、病気の後遺症で最初は全然口が回らないんです。だから、以前とはもう比較にならないくらいのところからスタートしないといけない。脳梗塞の回復は数年単位で改善したりしなかったりするものなので、自分自身のお芝居の変化よりも、周りの共演者が変わっていく姿や、昨日までできなかったことが1週間稽古すると上手くいくようになったり、役者だけじゃなくて一緒にやってるスタッフが楽しくやってるとか、そういうのを喜びに思えるようになったんです。以前に比べて冷静に回りを見るようになったせいか、共演者に対して色々口出しするようにもなりました。迷惑かもしれないけど(笑)。自分にはできないんだけど、せめてそれを伝えたいという気持ちが強くなったのかもしれせん。お芝居に関わっていく新しい役割を見つけた気がしました。

 

 

黒澤:西川さんはご病気を経験されてから考え方の変化があったんですね。

 

 

西川:そうですね。例えばお芝居を観に行った時に、昔はどうやって盗もうかと考えてたんですけど、今は何を見に行っても自分には到底できないって思っちゃうので、純粋にお芝居が見られるようになったと思う。この人はなにが良くて、どうしてこの人からは何にも感じないのか、その原因や障害を自然と分析できるようになって、僕にとってはお芝居がより深く見れるようになった。だから、お芝居を全然嫌いにならないんです。昔は見るっていうのとやるっていうのが自分の中で一緒になっていたんですけど、いまはもう完全に別問題として、見ることとやることは全然違うことと感じるようになった。そういう変化もありますね。

 

 

大森:役者って定年が無いからいつまででも続けられるって、昔は思っていたんですけど、最近は高齢の方が続けていらっしゃることが、ものすごいことだなって実感としてわかるようになりました。自分の身体もちゃんと動かなくなってきたりすると、続けている事がどんなに大変かって身をもって感じます。先輩方をすごいなって思いますね。

 

 

西川:先輩方をみて、どうすればその年齢まで続けられるのかって想像すると、毎日のちょっとしたことが本当に大事なんだなって気がつく。役者って休もうと思えばいくらでも休めちゃうし、年取ってくると身体も使えなくなってくる。今のキャラメルボックスは以前に比べて公演数が多くないから役者は暇な時間が増えていると思うんです。そうすると、お芝居やってない時間がとても長い。そんな時間に何をして過ごしてるかが、その次舞台をやる時に、如実に出てきちゃうっていうのが分かってきた。

 

 

大森:そうね、毎日をどう感じ、どう生きるかを大切にしたいなって思います。同じような事をしていても、若い頃と同じ気持ちでは勿論ないし、見えている景色もちがうのだから、自分でちゃんとその想いを受けとめたいな。公演も今まで出た本数よりこれから先出る本数の方が少ないと思うので、一本一本をいっそう大切にしたいなって思います。

 

 

西川:自分たちも何歳までやれるか本当にわからないから、例えば60歳までやってる人って大変な苦労をしていると想像するんですけど、僕らにとっても60歳がすぐそこに迫ってきているので、その時点で今よりせめて衰えてないように存在したいと考えるようになりました。将来こういう風になりたいとかはあまりなくて、無事で健康に続けることが一つの目標なのかなって。

 

 

黒澤:貴重なお話ありがとうございます。自分もお芝居が続けられてることを恵まれてると思いますし、これからも頑張っていきたいです。

次に、キャラメルボックスを観劇した事のない方にオススメの作品などはありますか。

 

 

大森:やっぱり生で見てほしいな。DVDとかじゃなくて、劇場に見に来てほしいです。きっかけとしてはDVDももちろん良いけど。だけど劇場の空気ってあるからね。なんだろう、そうするとこれからの後の作品になるんですかね。どうですか。

 

 

西川:僕も生で見てほしい。東京みたいにこんなにたくさんのお芝居を毎日やってる街って少ないと思うんですよ。もしも地元でやっていなければ、茨城や栃木や群馬や長野とかでも、東京に出てこられる環境があるんだったら出てきて、直接お芝居を見てほしい。お芝居をやってる方だったら、生で観ることが何よりの勉強になると思うので。でも、たぶん地元でも素敵な舞台はやってると思いますよ。生で見ると感じ方が全然違うし、例えば高齢の役者さんが大きな舞台で素晴らしい演劇をする場合もあるし、小劇場で人が息をしているのを実際に感じられると、もうなんだろうね、奇跡のように感じられることもあるんだよって伝えたい。

 

 

黒澤:映像では伝わらない生の感動ってありますよね。

 

 

西川:うん。本当にどんなものでもいいから生で舞台を見てほしい。で、もっともっとあたりまえに演劇が存在する世界になってほしいなって願うし、自分たちも貢献できれば良いなと思いますね。

 

 

大森 : 本当にそう思います。お芝居をしていない方々にとって、もっと身近な楽しみになって欲しいと思います。

3⑶キャラメルボックス黒澤:お二人は学生の頃から演劇をなさっていますが、プロの演劇と学生の演劇の違いとは何だと思いますか。

 

 

西川:最近高校演劇をよく観るんですけど、プロの演劇と比べると演技としては拙いと思うんですよ。でもまれに学生の演劇の方が圧倒的に面白いことがあるんですよ。それは何かって言うと、熱意だと思うんです。お芝居ってテクニックや上手さよりも、その人の心の中が伝わってくるときに一番感動するから、どうしようもなく下手くそなんだけど心を打たれることがある。ということを高校生に教えてもらった。大学生は高校生よりはちょっと上手になってるから、そうするとやっぱり上手にやりたいって気持ちが先走っちゃうこともあると思います。もちろん上手になることもすごい大事なのでいろんなことを学んでほしいんですけど、最終的に人の心を打つのは自分の心なんだってことを忘れないでやってくれるともっと大学演劇も盛り上がるんじゃないかなって思うんです。生意気な言い方だな(笑)。心の中は他の人には真似できないから、ぜひ忘れないでいてほしい。なんでこう思うかというと、昨日二人で観に行った舞台が、プロの演劇なんですけど、どこか高校演劇っぽかったんですよ。

 

 

黒澤:お二人で観劇されたんですね。

 

 

大森:そうそう。二人で何で高校演劇っぽいと感じたのかって話してたの。役者が俺が俺がって主張する感じがなくて、劇団としてのまとまりがある事が、高校演劇のまっすぐな世界に重なるのかな、と思いました。

 

 

西川:作家がいて演出家がいて作品の世界があるわけじゃないですか。その世界がないと演じる人は存在できないんです。その世界を信じている役者は生き生きしてる。さらに、そういう役者が集まると全体として素敵な塊になってく。これはなんでもそうだと思うんですけど、例えば会社にいると枠や制約がないと働きようがないから、閉じ込められてるような気もするけど、一人一人が自由度を持って輝いていないと会社自体も面白くないじゃないですか。お芝居も同じで、僕は大切なのは自分の生きてる世界を信じるってことだと思うんです。スポーツでもプロの試合だけが面白いわけじゃないじゃないですか。例えば子供同士がやってる試合で感動することもあるんですよ。それに僕は近いと思っていて、どうせやるんだったらみんなでたのしんでやって、お客さんがどう思うかは後から付いてくるくらいが丁度いいんじゃないかと思うんです。

 

 

黒澤:では、早稲田演劇で活動している学生に伝えたい事はありますか。

 

 

大森:月並みですが、若い今しかできないこと、やりたいことを、思いっきりやってください!今しかないよ。今が未来を作っているからね。

 

 

西川:僕も、ぜひ今じぶんがやりたいと思うことを思いっきりやってほしいなと思う。中途半端にやるんじゃなくて、俺は大学でこれをやったって言える経験をしてくれれば良いなと思うし、それがいつかどこかで将来の役にたつと思う。未来のことって漠然としか見えないかもしれないけど、確実に今やってることがどこかに近づいてるはずだから。

 

 

黒澤:ありがとうございます。

最後になりますが、同じくてあとろ50’卒業生であり劇団ラッパ屋で活躍していらっしゃる熊川隆一さんにもインタビューするのですが、最後に熊川さんに聞きたい事を教えてください!

 

 

大森:熊川さんにはすごいお世話になりました。共演した時は相手役をやらせてもらった事もあるし、私の大学の読書感想文の宿題を書いてもらった事もあったな(笑)

 

 

西川:それはお世話になりすぎだよ(笑)

僕はてあとろに入ってから初めて先輩と二人きりで電車で帰ったのが熊川さんだったんです。その時は、先輩だから緊張して全然話もできなくて。でも熊川さんすごいかっこよかったんですよ、当時から。そんな熊川さんが今でもちゃんとかっこよくいて、僕はすごく嬉しいんです。熊川さん大好きなので。ぜひずっとかっこよくいてください。

 

 

大森:言いたい事じゃなくて、聞きたい事だよ!

 

 

西川:あ、そうか(笑) じゃあ、どうしたらずっとカッコよくいられるのか、その秘訣をお聞きしたいです!

 

 

 

 

へちま×劇団てあとろ50’企画公演
『できない刑事』

https://stage.corich.jp/stage/85306
2017年11月17(金)〜20(月)
早稲田小劇場どらま館

【主宰・原案】黒澤優介
【脚本・演出】森平周
【映像監督】又吉太一

【ご予約はこちらから】

https://stage.corich.jp/stage/85306/ticket_apply?stage_detail_num=2

 

 

 

ページ: 1 2


カテゴリー:サークル

« WasedaCollection2017 in 原宿 終幕

『できない刑事』×早稲田リンクス特別企画、五週連続インタビュー掲載! »

最新わせにゅー
  • 便利舎ロゴpng

    便利舎 早稲田祭企画決定!豪華プロデューサーを招く。

    2017.10.12

  • 役者表紙

    『できない刑事』×早稲田リンクス特別企画、五週連続インタビュー掲載!

    2017.10.11

  • 1⑴キャラメルボックス

    『できない刑事』×早稲田リンクス特別企画、五週連続インタビュー掲載!

    2017.10.5

わせにゅーカテゴリ
  • カテゴリー
    • ニュース (247)
      • イベント (13)
      • サークル (43)
      • その他 (5)
      • 大学 (34)
 
Twitter Facebook