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合格体験記

合格体験記 vol.9

【ペンネーム】いたち

2007年3月 北海道北見北斗高等学校卒業
同年4月 早稲田大学政治経済学部政治学科入学


早稲田を目指すまで受験勉強試験本番最後に……


■早稲田を目指すまで

僕が初めて早稲田大学の名前を知ったのは、小学4年生のとき。 当時ベストセラーとなっていた乙武洋匡氏の『五体不満足』を読んでのことでした。 その頃の僕は単なる田舎の小学生。大学どころか高校受験のことさえもまともに考えていませんでした。でも、 作中で非常に魅力ある場所として描かれていた「早稲田大学」という場所への憧れはその頃からあったのかもしれません。

さて、時は流れて高校入学、弓道部に入部した僕は勉強そっちのけで部活にいそしむ毎日。 当然テストの点は嘘をつきません。元々得意だった国語は校内で上位を保っていたものの、理系科目、特に数学の成績は下がる一方……。なんと1年次にして留年の危機に瀕するほど(笑)。 進学に関しては、正直なところあまり熱心ではありませんでした。 家庭が経済的に苦しかったことなどもあって、漠然と国公立大進学を考えてはいたものの、前述のとおり理系科目の成績がひどく、上位国公立大の判定はいつも散々な結果。 かといって一念発起し勉強に励むわけでもなく、2年の終わり頃になっても、「今の成績で行ける大学に行けばいいや……」という程度の意識しかありませんでした。

そんな僕に転機が訪れたのは、高校3年生の春に行われた塾での担任との面談。 その頃の僕の成績はというと、文系科目と理系科目の偏差値の開きがすさまじく、某予備校実施のマーク模試で 国語70に対し数学40などといった有様。 また社会についても、2年次で日本史を履修していたにもかかわらず、どうにも性に合わないと感じ1年次以来ほ とんど勉強していなかった世界史に転向。当然いきなりいい点がとれるわけもなく、偏差値は40程度と低迷。 僕自身は国語と英語の偏差値にあぐらをかいていたこともあってさほど不安でいっぱいというわけでもなかったのですが、状況としてはかなり追いつめられていたと思います。 そんな中での進路面談、話は当然のように数学を切る方向へ。すると、選択肢は文系私大に限られてくる。 僕の頭の中をよぎる、さまざまな文系私大の名前。明治、中央、上智――そして、早稲田。

「あのー……早稲田政経、目指してみようかな、とか……」

正直なところ、その時は早稲田という大学にそれほど強い思い入れはありませんでした。 最初に書いたとおり、『五体不満足』を読んで感じた「早稲田ってなんだかいいな」という程度の気持ちしかな く、思わず早稲田の名を口に出した直後にものすごく後悔しました。僕が早稲田を目指すなんて、無理だと諭さ れるに決まっている。それどころか下手をすると馬鹿にされるのではないか。そう思ったからです。 ですが、担任の反応は予想とは違っていました。

「確かに世界史はこのままの成績じゃまずいが、国語を軸にしていけば十分可能性はある。今からでも遅くない から頑張るといい」

ひょっとすると、単なる気休めの言葉だったのかもしれません。でも、「可能性がある」というたった一言で、 もともと自信過剰かつ単純な気のある僕の気持ちは固まりました。

よし、こうなったら本気で早稲田政経に行ってやろう。どうせ数学から逃げるんだったら、私学の雄の早稲田 を目指してやろうじゃないか

そう思い立ち、両親とも話し合って早稲田の受験を決めました。



■受験勉強

とはいえ、そう簡単に事は運ばないもの。 まず、僕は生来の勉強嫌い。加えて部活を引退したことで、ただでさえ殆どないに等しかった生活のメリハリが ますます失われ、机に向かってから5分経つと傍らに置いてある本を読み始めているダメダメぶり。 やらなくてはいけないとわかっているのに、どういうわけかやる気にならない。

「このままじゃ本格的にやばい!」

そう感じた僕は、塾の自習室にこもることに。 食事のときや休憩中に、友人とくだらないことから真剣なことまで語ったり問題を出し合ったりすることが数少ない息抜きの1つでした。 また、休憩時間などを利用して息抜きがてらにネットや書籍で早稲田について調べることは、モチベーションの維持に役立ちました。 北海道に住んでいることもあって気軽に早稲田に行けるわけがなく、オープンキャンパスも旅費がかかるせいで断念したため、ほとんど唯一の情報源はネット。早稲田リンクスなど大学の団体のホームページを見ていたのも、ちょうどその頃です。早大生が書いた早稲田の記事を読んで、改めて早稲田に対する想いをチャージし、再び机に向かっていました。

実際に勉強する上では、「必要以上のことはやらない」ということを第一に考えていました。 早稲田に行くことだけを考え、それ以外の大学に目を向けない。そう割り切っていなかったとしたら、僕は今早大生として学生生活を送ることはできなかったでしょう。 さて、僕が声を大にして言いたいのは、「やはり基礎が全て」ということです。 私立最難関の早稲田といえども、基礎力が試される問題が数多く出題されます。基礎がおろそかな状態で試験を受けたとしても、一つのミスが致命的なダメージとなって、もっと言えば「不合格」という現実となって襲い掛かってきます。 そうならないためにも、基本的な知識の定着を第一に、それをベースとして必要に応じて発展的な知識を積み重ねていくことが重要です。

また、赤本に代表される過去問集はどんな問題集よりも有用です。僕にも色々な問題集を試した時期がありまし たが、早稲田の出題傾向がわかり、自分の弱点が見え、さらに数もこなせる過去問集が最終的には大きく役立ち ました。 過去問集は、夏頃に最新版が発売されます。もちろんその段階で解けるはずはありませんが、とにかく購入して 一年分の問題に目を通し、出題傾向を掴むことを薦めます。 その後、秋から冬にかけて基礎がある程度固まったら、ひたすら問題を解きまくりましょう。

あまり役に立たないかもしれませんが、科目別勉強法も簡単に記しておきます。

〜英語〜

早稲田、特に法と政経の問題は年々長文化が進んでいたので、とにかく長い文章を読むことに慣れるところから 始めました。 単語帳は一応『速読英単語』を利用してはいたものの、僕はひたすら暗記をするタイプの勉強法が大の苦手。そ こで、過去問の長文を読みながら未知の単語を書き出してそれを覚えるという方法をとっていました。これは繰り返していくうちに頻出の単語がわかる上に効率よく語彙を増やすことができ、さらに長文にも慣れることができるので個人的にイチオシの方法です。

文法は、『即戦ゼミ3 英語頻出問題総演習』を一通りやっただけで、重要な熟語や構文以外は正直なところそ こまで重要視していませんでした。ですが、文法知識は知ってさえいれば即得点につながるため、ひとつでも多く暗記した方がいいと思います。

〜国語〜

早稲田の現代文(特に法学部)は誰もが苦労するところでしょうが、「これ!」という参考書や勉強法ははっき り言って存在しないと思います……。 僕は元々読書を趣味としていたこともあって、休憩時間などに新聞や新書などを読むことで「かたい」文章をある程度のスピードを維持しつつ熟読する訓練をしていました。 この方法は一見遠回りだし、活字を読むのが嫌いな人にとっては拷問に等しいかもしれません。ですが、やみくもに問題を解いていても、早稲田特有の難易度の高い現代文を読みこなすことは絶対にできないので、まずはまとまった量の文を読みこなせるようにするのが最良だと思います。

その後はとにかく過去問にあたって、解説を参考に選択肢の判断基準などを感覚的に覚えていきました。 反面、古典や漢文は知識さえあれば確実な得点源になるので、単語、文法を確実に暗記するよう努めました。 特に古典の助動詞(活用、接続、意味)と漢文の句型は、文法書に記載されているものを全て暗記することが必須です。 あまり難しいものに手をつける必要はないので、とにかく基礎的な知識の定着に努めましょう。

〜世界史〜

ある意味最も苦しめられた科目。 僕のように3年になってから世界史にシフトするような人は殆どいないと思いますが、人物が多い上に似たような 名前が出てくるわ(イブン多すぎ)、あちこちの国が出てくるわで、世界史が好きな人を除けば苦痛ばかりが目 立つことでしょう。 さて、早稲田は重箱の隅をつつくような問題が出るとよく言われますが、それはごく一部だけ。殆どは山川出版社の教科書と用語集の知識があれば正解できる問題です。

ただ、歴史の縦(年代)と横(各地域のつながり)の流れに対する理解が試される問題が多いので、基本的な人 名、年号、事件を単純暗記するのでは歯が立ちません。そこで、歴史を扱った書物(あまり難解でないもの)を マンガでもいいから一読すると、歴史の大まかな流れや各国の関係などが見えてくるため、細部の知識を積み上 げていく上で非常に役立ちます。それだけではなく、歴史そのものへの興味を深めることは、学習意欲を高める ことにもつながります(三国無双ファンが三国志に詳しくなるような感じ)。

また、早稲田では肖像画や地図などを利用した問題も出題されるので、資料集などを利用して歴史上の重要人物や建造物、地理などをビジュアルで理解することも必要です。資料集は年表やコラムなども充実していて、読んでいて飽きないのでオススメ。 とかく暗記科目は単純作業になりがちなので、楽しみながら勉強するのが一番です。ただし、「楽しむ」ことと 「楽をする」ことはまったく違います。ご注意を。



■試験本番

本格的に東京に行くのは初めてで、完全におのぼりさんでした。到着したまさにその日に宿泊先の池袋で高校の 学生証を落とすというハプニングもあったものの、受験に直接関係なかったためさほど動揺はせず。 「受験直前はメンタル面のケアを第一に考えよう」という考えから、勉強は暗記科目の最終チェックや赤本の解 き直しにとどめ、一緒に上京した二人の友達とあちこち出歩いては遊んでいました。今になって考えると、その おかげで試験中の過度の緊張を防ぐことができたのかもしれません。

【中央大学法学部法律学科フレックスAコース】合格

前日に下見に行っていたし、滑り止めだと割り切っていたこともあり、特に緊張せず。 しかし、午前に受けた英語が例年よりも難しかった上に、対策をほとんどしていなかったせいで、国語で古典が 出題されることを当日知るという大失態(なぜか現代文だけだと思い込んでいた)。 結局手ごたえがあったのは世界史だけで、「これはもう早稲田に受かるしかない」と逆に吹っ切れました。 まさか受かるとは思っていなかったため、結果を知ったときには本気で驚きました。

【早稲田大学法学部】合格

東京に滞在する期間の関係で、ここに落ちると一人暮らしの部屋決めなど様々なことに支障が出ることがわかっ ていたため、まさしく背水の陣。ある意味、本命の政経よりも精神的には辛い受験でした。 滑り出しの英語の時間配分がうまくいかず、さらに国語が例年以上の難解さで大混乱。 はっきり言って殆ど手ごたえがなく、見たくない見たくないと思いつつも宿泊していたホテルのパソコンで回答 速報を見てはやきもきしていました(予備校によって国語の解答が大幅に異なっていた)。 電話口から合格のアナウンスを聞いたときには、喜びというよりも安心でベッドに倒れ込みしばらく呆然として いたのを覚えています。

【早稲田大学文化構想学部】合格

赤本に掲載されていたサンプル問題と少し傾向が異なっており戸惑ったものの、さすがに三度目ということもあ り時間配分も成功。 世界史が若干不安でしたが、他の科目は自信を持って試験終了の合図を聞くことができました。

【早稲田大学政治経済学部政治学科】合格

本命の受験ということもあり、いつもより時間の余裕を持って出発。試験開始直前は下手に新しいことに手をつ けようとせず、お気に入りの曲を聴いてリラックス。 それが功を奏してか、全教科落ち着いた気持ちで臨むことができ、手ごたえも十分。実力をフルに発揮できた喜 びと、もしかしたら他の受験生も出来がよかったのではないかという不安で、合格発表までもやもやした気持ち が消えませんでした。 自宅で発表を聞いたときには、法学部のときと同じく嬉しいというよりも安心が先立ち、ようやく解放されたと いう感じでした。

【早稲田大学文学部】合格

既に法学部の合格がわかっていたのですが、「どうせなら一つでも多く合格通知をもぎとってやろう」と思い 試験会場へ。 今までのような気負いがなかったため、リラックスして試験に臨むことができました。

【首都大学東京都市教養学部法学系】棄権

池袋のホテルにて8時起床。試験開始は9時……。 潔く諦めて池袋をふらふらしてました。後で母に怒られましたが(笑)



■最後に……

長文乱文失礼しました。最後まで読んでくださって本当にありがとうございます。 最後になりますが、受験にあたって一番大切なのは、「どうしてその大学に行きたいのか?」です。 僕は前述のとおり、受験で数学を切る口実として「どうせ数学から逃げるなら、文系私大で一番上を目指してやろう」と早稲田の受験を決めました。単に早稲田のブランドに惹かれたと言っても過言ではないでしょう。 しかし、早稲田大学という場所について知れば知るほどその想いは変わっていきました。 百キロハイク、早慶戦、早稲田祭などのイベント。ネット上のインタビューなどからひしひしと伝わってくる早大生たちの生き生きとした姿……。 今まで「早稲田」という名前しか見ていなかった自分が酷く恥ずかしくなりました。大学はそんなくだらない理由で決めるものじゃない。そう言われた気がしたのです。

「この場所に行けば、こんなにも熱い仲間たちと出会える。俺も東京で、早稲田で何かを成し遂げてやりたい」

彼らの姿を見て、心からそう思いました。 だから皆さんにも、偏差値やブランドではない「何か」を志望動機にしてほしい。その「何か」が早稲田には必 ずあると思います。 そして、目標を一度決めたなら、それに向かってひたすら突き進んでください。 僕は、地方の公立高校にありがちな「地元の国公立大至上主義」とでもいうべきものに苦しめられました。 周りは当然のように国公立を志望しているし、学校から入ってくる私大の情報も微々たるもの。 極めつけは受験直前講習で、北大対策講座はあっても、早稲田対策は一切行われませんでした。

「お前が早稲田行こうとしてるの? 受かるわけないのに」

そんな視線や言葉を投げつけられたこともあります。悔しい。お前らに何がわかる。そう思いました。 成績が思うように伸びないとき、彼女と別れたとき、両親と意見が食い違って大喧嘩したとき――挫けそうにな ったことは、一度や二度ではありません。 それでも、早稲田以外の道を探そうとは思いませんでした。 決して妥協はしたくなかった。一度決めた目標に背を向けて、「もうちょっと頑張ってれば受かったのに」などと格好悪い言い訳をすることだけは嫌だった。 むしろそういった逆境の中で、「何がなんでも早稲田政経の合格通知を叩きつけて、思いっきり高笑いしてやりたい」という、ネガティブなのかポジティブなのかよくわからない目標が生まれたほど。

早稲田への強い想い、そして自分への(根拠のない)自信がなければ、とっくに心が折れていたことでしょう。 地方、特に中堅校にあって早稲田を目指している人は、このように自分の置かれている環境とぶつかりあう事態 に直面することもあるかと思います。 それでも、迷わないでください。周りの流れに屈しないでください。 逆境を乗り越えた人間は必ず強くなる。僕はそう信じています。

「今は振り向かず8823(ハヤブサ) クズと呼ばれても笑う」(8823/スピッツ)


自分を信じ抜き、振り返ることなく努力することのできる人だけが真の栄光を掴むことができます。最後の最後 まで決して自分を曲げずに、悔いのないように頑張ってください。 来年の春、皆さんが最高の笑顔で早稲田に咲き誇る桜を見られることを心から祈っています!



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