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早稲田祭をもっと楽しくするウェブコラム

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マツリ×祭

理想の祭とは

早稲田祭2017運営スタッフ代表 高田あすか

祭は気付いたらそこにあるものではない。「祭をやろう!」と言い出した人がいて、それを受け継いでいる人がいるからこそ祭は存在する。早稲田祭の場合、早稲田祭運営スタッフ(以下運スタ)が祭をやっているからこそ存在している。これは言い過ぎでもなんでもなく、ただの純然たる事実である。

そんな祭という場を創り出している運スタの代表高田あすかさんに、早稲田祭の持つ祭としての理想と、祭を作ることにかける想いを伺った。

 


 

——高田さんはなぜ運スタに入ったのでしょうか。

 

私は中学生と高校生のころに体育祭の実行委員をずっとやっていたのですが、文化祭の実行委員もやりたかったんですね。でも体育祭の実行委員をやったので、掛け持ちができなかったんです。それで大学生になってサークル選びするときにいろいろ調べたら、早稲田祭が日本一大きい学園祭ということがわかったんですよ。それを運営している運スタ自体も大きいし、友達もたくさんできるかなと思って入りました。

 

——運スタは規模も大きく、総勢で600人以上いるとお聞きしました。バチカン市国の人口より多いんですよ。

 

そうなんですね(笑)

 

——それぐらい人が多い異色のサークルだと思うんですが、なぜその団体の代表やろうと思われたのでしょうか。

 

確かに、最初に入ったときは、めちゃめちゃ大きいサークルだなと思いましたね。入ってはじめに700人ぐらい入る教室にサークル員全員が集められるのですが、そこの席がぶわーって埋まっているのをみて「やばいサークル入っちゃったな」って思ったのはよく覚えています。それでも、2年目になってくると顔見知りが増えたこともあって、そんなに大きいサークルじゃないんじゃないかっていう意識が生まれたんですね。人数は多いんですけど、とてつもなく手に負えないみたいなイメージがなくなって、それならばやってみようと思いました。

 

——運スタの代表のお仕事ってなかなかイメージがしにくいんですが、どのようなことをやっているのでしょうか。

 

運スタの代表はサークルのなかでも暇なんですよね(笑) 主に外回りが多いんです。例えば、運スタが協賛金をいただいてる主体の一つは、早稲田のOBの方とかなんです。そういう方たちが集まる稲門会っていうのに参加させていただいて、挨拶することをこまめにしています。あとは早稲田祭に参加される団体の方とかと良好な関係を作るということが主な仕事です。
最大の仕事は運スタ自体の組織の軸を作るということですね。全体ミーティングというのが隔週ぐらいであるのですが、そこで代表の言葉みたいな感じで私が喋らなければいけないんですね「あと20日間頑張っていきましょう」というように士気を高めるような言葉を言ったり、大切にしてほしいことを伝えるようにしています。
去年の代表の方はすごいずっと余裕のある感じだったんです。けど、私はなにかをやっていないと気が済まないので、本来の代表としての仕事以外でもいろいろやっています。2年間早稲田祭に携わってきたからこそ運営スタッフとしての知識はほかの人よりもあると自負しているので、そのようなことを還元できるようなことをしています。

 

——どの団体でもそうだと思ういますが、代が変わって代表が変わると団体としての特色が変わると思います。高田さんから見て、今年の運スタはどのような特色があるのでしょうか。

 

私たちの代は「みんなで祭を作る」ということを大事にしています。サークルに600人いると、サークル全体の帰属意識より、どうしても局とかチームに対する意識がすごく強くなってしまうんですよ。やっぱり600人皆がサークルの仲間というよりは、普段活動している仲間がどうしてもサークルの仲間に思えちゃうんですね。それは当たり前なんですが、そういう意識が進みすぎちゃうとサークル全体の結束が弱くなってしまうんですね。やっぱり早稲田祭の運営はいろんな部署が絡まりあって活動していくので、団体自体の結束が弱くなるのはまずいことなんです。それがすごくやだなと思って、意識的に変えていこうと思っています。
だから、スタッフにも直接「みんなで祭りを作る意識を持とう」とは何度も言ってますね。スタッフ全員が少しでもそういう意識を今年持ってくれたらうれしいかなと思います。

 

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——早稲田祭は毎年様々なことが変わり続けていると思います。今年の早稲田祭で大きく変えました部分はあるのでしょうか。

 

企画として新しくやることは、戸山キャンパスでプロジェクションマッピングをすることですね。戸山キャンパスは、早稲田キャンパスと比べると来場者数が例年少ないんですよ。せっかく早稲田祭は早稲田キャンパスと戸山キャンパスでやってるお祭りなのに、早稲田キャンパスだけ盛り上がるのはもったいないことなんです。だから戸山キャンパスの広報はより一層力を入れて頑張ってるので、是非来ていただく方には戸山キャンパスも来ていただけると嬉しいなって思います。
あと屋内企画にも足を運んでいただきたい。どうしても一般的な早稲田祭のイメージは、飲食屋台が所狭しと並んでいて、ステージでは華やかなパフォーマンスをしてるという風景だと思います。そのせいか、屋内教室にあまり人が行かないんですよね。それは屋外の過多な混雑とかにつながったりしますし、なによりも屋内の団体さんの文化発表をしっかり見ていただけていないことが残念だなと思うんですね。私たち自身も早稲田祭の魅力は460もの多彩な企画があることだと思っているので。
来場者の方にも、ただ雰囲気だけを感じるんじゃなくて、いろんな企画を、時間が許す限り見ていただいて楽しんでいただきたいです。

 

——団体の参加方式も大きく変えたそうですね。

 

そうですね。例えば大隈講堂前ステージや屋内屋台の抽選方式も多く変えて、なるべく不公平性を減らすようにしました。そういった対応に、お褒めのご意見をいただくこともあったので、それは嬉しかったです。
それでも今年は落ちてしまった団体さんがいらっしゃるので、そういった方々の想いに添えないのはほんとに心苦しい以上の何物でもないんです。運スタとして数か月考えてだした結果だったので、そのようなことを見ていただければと思っています。
運スタは官僚組織みたいに言われることが多いのですが、少しでも参加団体の希望に添えるように努力しています。特に私は早大生のための祭だから、早大生の想いに添えない祭りは作りたくないんです。だからそういったご意見が少しでもあるのなら、ぜひ言っていただきたいですね。

 

——460企画もあると、なかなかすべての企画の希望に沿うようにすることは難しいですよね。

 

そうなんですよ。「運スタは嫌い」とか「頭固い」、「レスポンスが遅い」など様々な意見をいただいて、そこもうちとして努力していかなきゃいけない部分があると思っています。それに加えて、もっと早大生みんなで作る祭りっていう意識が早稲田全体で芽生えるといいなとも思います。
そのためにも私たちは毎年悪い部分は削っていき、もっとよくなるための企画にも挑戦していかなければいけないと感じていますね。

 

——そもそも大学が関わらないで、学生だけでここまでやるということはすごい難しいとは思います。

 

実際難しいと思いますね。私は早稲田祭を運営することしか知らないのですが、他大学の運営委員の話を聞いてると全く違います。金銭面で大学からの援助を受けていて、「大学が負担してくれるから赤字を出しても大丈夫」を聞いたときはびっくりしました。早稲田祭は絶対に赤字は出せないので。だから運スタは「運営費」という形でスタッフ全員が払って、早稲田祭の運営に使っているんです。それだけでは足りないので、参加団体さんからの分担金や協賛収入とかの積み重ねで運営資金を集めています。お金とかそういった面で大学から離れてるところは大変なとこもあると思います。
それでも学生主体であることはいいことだと思っていますね。学生が自分たちのための祭を作るのって、早稲田らしいじゃないですか。

 

——運スタのやる早稲田祭という場は、多くのパフォーマンスサークルはもちろんのこと、僕たちのような企画をうつ団体としてもいい場所になっていると思います。

 

そう言っていただけると嬉しいですね。そのことを他の運営スタッフに言うとめっちゃ喜ぶと思います(笑) 運スタで団体さんの対応する人ってすごい限られているので、早大生の方の目からそういう意見を言っていただける場がなかなかないんですよね。
でもそもそも運営スタッフのなかでも、早稲田祭がどういう価値を持っているかを理解してない人が多いという現状は残念ながらあります。なるべく言うようにしてるんですけどね。

 

——そうですよね。個人的に思うのは、早稲田は1950年代から60年代には文化の中心地と知られていたんです。寺山修司さんや、「上を向いて歩こう」を作曲した中村さん、ナベプロを作った渡辺晋さんといった早稲田生が文化を作っていた時代がありました。今、そういう風潮があるなかで早稲田祭が文化の中心になっていったらいいのかなって思ったりしていますが。

 

確かにそうですね。運スタの掲げる「理想の早稲田祭」というものがあるのですが、そのうちの一つに「早稲田文化の発展向上の契機となる場になる」というのがあるんです。だから、早稲田祭っていうのをきっかけに早稲田の持つ文化がもっとより発展していくことも私たち自身も目標としています。
ちゃんとしたデータはないのですが、早稲田祭をきっかけにして早稲田のサークルが増えてるということがよく言われているんです。私自身の認識としても早稲田祭は他の場所で難しい文化発表のハードルが下げられる場所だなって思っているんですね。それでも、多くの方がまだ早稲田祭に出ていないとか、関心がないひとがいる現状があります。だからもっと、早稲田祭で文化発表するためにサークルとかができてくれると嬉しいです。そのなかで早稲田文化全体が大きく存在感を示していくということができたらいいなと思います。

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